キス魔なカレシ。

 期末試験の結果が廊下の壁に張り出された。

 私は、これまでにないくらい良い順位が取れた。

 これも、全て郁弥くんに勉強を教えてもらったおかげだ。これで、夏休みに補習を受けなくてすむ。

 郁弥くんの順位は…

 1番上に名前が書いてあるのを見つける。

 やっぱり、凄いなぁ…。

 「あ 、僕がまた1位だ」

 郁弥くんは、普通の感じに言っているのが、少し憎たらしい

 郁弥くんにとっては、当たり前の事かもしれないけど。

 「可憐ちゃん。良く頑張ったね。ご褒美いる?」

 私の耳元で、甘く囁く。

 郁弥くんが言う『ご褒美』って…。キスの事だよね?

 「い、いらない!」
 「クスッ。遠慮しなくていいのに」

 郁弥は、可笑しそうに笑うけど、全然面白くないから!

 「可憐と郁弥くんって、そんなに仲良かったけ?」

 私たちのやり取りを見ていた凛が不思議そうに、首を傾げながら言う。

 そうだった!凛がいたんだった…!

 慌てて「同じ委員長だから、良く話すだけだから!」と誤魔化す。

 「そっか。ねぇ、夏休みはどこかに遊びに行く?」
 「そうだね。どこに行く?」

 私たちが、夏休みの予定を立てていた時だった、郁弥くんが「僕も一緒に遊びたい」と会話に混ざってきた。