キス魔なカレシ。

 私は、借り物競争を応援しながら、複雑な気持ちでいた。

 郁弥くんには、負けて欲しくないけど、勝って欲しくもない。

 だって、郁弥くんが一番になってしまったら、私からキスをしなくてはいけなくなる。

 そんなのは、恥ずかしいから嫌だ。

 私からキスした事なんて一度もない。

 『そして、いよいよ最後の選手たちの借り物競争です!』

 どうやら、次が郁弥くんの番らしい。

 「それでは、位置についてよーいドン!!」

 最後の借り物競争が始まる。