キス魔なカレシ。

 キスをしていると、お昼休みの終わりを告げるチャイムの音が響いた。

 「名残惜しいけど、教室に行こっか」

 郁弥くんは、頭がぼーっとしている私の手を掴むと教室まで引っ張ってくれる。

 途中で誰にも会わなかったのは、奇跡だろう。

 こんな、熱くなって赤くなっているだろう顔を誰にも見せることは出来ない。

 「はい。教室に着いたよ」
 「うん」

 教室の前まで来て、掴んでいた手を離す。