キス魔なカレシ。

 授業中も、郁弥くんの事で頭がいっぱいだった。

 忘れようとするが、忘れる事が出来ない存在。

 「滝沢!この問題と解るか?」

 数学の先生に聞かれるが、授業を聞いていなかったから、全く解らない。

 私は、席を立ちながら情けない声で「解りません」と言うしかなかった。

 「こら、ぼーっとしてるからだそ!真面目に授業受けろよ!」
 「はい、すいません…」

 先生に怒られてしまった…。

 私は、肩を落としながら席に座る。

 これも、郁弥くんのせいだ…!!

 なんて、頭の中で郁弥くんのせいにする。