キス魔なカレシ。

 休日明け。

 私は、ドキドキしていた。何故なら、郁弥くんに言われた通りチェリー味のリップクリームを唇に塗って登校したからだ。

 早く来ちゃった…。流石に郁弥くんまだ来てないよね?

 校舎には、あまり生徒が居なくて殺風景だ。

 教室の扉を開けると、驚いてしまう。郁弥くんが教室の窓から、校庭を眺めていた。

 「あ、おはよう。可憐ちゃん」
 「おはよう。早いんだね」

 教室に、足を踏み入れて郁弥くんとお互いに挨拶をする。

 「だって、早く可憐ちゃんとキスしたかったから」

 微笑みながら、とんでもない事をさらっと言ってしまう郁弥くん。

 「そ、そんなに?」
 「うん。ねぇ、僕が選んだリップクリーム塗って来た?」

 やっぱり、聞かれると思った…。

 「塗って来たよ」

 唇を手で隠して言う。