キス魔なカレシ。

 会計をして、郁弥くんとお店の外に出る。

 私のポッケには、チェリー味のリップクリームが新たに入っている。

 「それじゃ、僕はこの後予定があるから行くね。また、学校で」
 「うん。またね」

 郁弥くんは、私に背を向けて行ってしまった。

 郁弥くんの事だから、キスでもして来るのかと思ったけど…。

 案外、あっさりと行ってしまった。

 「私も帰って勉強しよう…」

 そう言って、ポッケに入っているリップクリームをスカートの上から握りしめるのであった。