キス魔なカレシ。

 「どうしてこれなの?」
 「僕、さくらんぼ好きなんだよね。だから、今度学校に来る時、これ塗って来てよ。そして、キスしよう?」
 「〜〜っ!」

 郁弥くんは、イジワルに微笑んで、私の唇を指でなぞる。

 「ふふっ。きっと、甘いんだろなぁ〜」

 今にもキスしてしまいそうな、雰囲気。

 でも、今日は流されてやらない。

 「わ、分かった!買ってくるから、退いてよ!」
 「照れてる?」

 なんて、イジワルに聞いてくる郁弥くんを押し退けると、レジへと足を進める。