高校を卒業しても、私たちの日常は変わらない。

 いや、一つだけある。

 郁弥くんと婚約したことだ。

 卒業式の日に理科室で、プロポーズをしてくれて、晴れて私たちは婚約者になることが出来た。

 郁弥くんの指輪には、私とお揃いの指輪が嵌めてある。

 その事に、ニヤついてしまいそうになる。

 「可憐ちゃん、聞いてる?」
 「う、うん。聞いてる」
 「良かった〜。それで、ドレスとかどれが良い?」

 そう、私たちは、ウェディングドレスを雑誌で見て選んでいた。

 流石に、早いと言ったけど、決めるのは遅くない方が良いとの事だった。

 「これ、なんて良いんじゃない?」
 「うん。素敵なドレスだね」

 雑誌には、素敵なドレスばかりで、迷ってしまう。

 「可憐ちゃんなら、どれでも似合うと思うよ」
 「そうかな?」
 「そうだよ」

 ちなみに、プロポーズされたことはお互いの両親には、報告済みである。

 両親にいったら、凄く驚かれた…。

 そうだよね、私でもこんなに早く婚約する事になるとは、思ってもいなかったよ。

 でも、最終的には喜んでくれた。

 郁弥くんの両親は「娘が出来る!」と狂喜乱舞していて、私が驚いた。

 そんなに、喜んでくれるとは思ってもみなかったからだ。

 まぁ、否定されるよりは全然良いけど…。

 「あ、これとか好きかも」
 「確かに、可憐ちゃんによく似合うね…。じゃ、これにする?」
 「うん」

 私は、シンプルだけど、華やかな純白のドレスを選んだ。

 「明日から大学だし、今日はここまでにする?」
 「そうだね、もう寝よっか」

 私たちは、寝室に行き、一緒のベッドに眠る。

 私は、まだ一緒に寝るのに慣れていなかったけど、郁弥くんの隣は凄く安心する。