ついに、卒業式が始まった。

 僕は、卒業生代表としてスピーチをするけど、退屈だった。

 けど、可憐ちゃんが見ているからしっかりとスピーチをする。

 スピーチが終わって、卒業式も終わったあと、僕は可憐ちゃんを探していた。

 探していたのは、僕たちがよく隠れてキスしていた理科室だった。

 この場所は、僕たちの大切な思い出の場所。

 だから、可憐ちゃんは、理科室に来たのかもしれない。

 僕は、可憐ちゃんとの思い出を思い出していた。

 初めて、事故でキスしてしまった事。

 運命の出会いをした事。

 キスする関係になった事。

 そして、恋人になれた事。

 全てが、大切な思い出。

 きっと、一生忘れることはないだろう。

 僕は、可憐ちゃんの足元に膝まづくと可憐ちゃんは、驚いたように声を上げるけど、気にせず、ズボンのポッケから買っていた指輪を取り出して、可憐ちゃんにプロポーズをする。

 緊張しすぎて、ありきたりな言葉しか出なかったけど、僕の気持ちが伝わりますように。

 可憐ちゃんは、嬉しいそうに僕と結婚してくれると言ってくれた。

 その言葉をずっと、待ってたんだ。

 指輪を取り出して、可憐ちゃんの細い指に慎重に嵌める。

 やっぱり、僕の目に狂いはなかった。

 可憐ちゃんの指に輝く指輪がとても、綺麗で似合っていた。

 そして、婚約記念日としてキスをすると、僕が好きなチェリー味のリップクリームの味がした。

 どうやら、僕を想ってチェリー味のリップクリームにしてくれたらしい。

 本当に可憐ちゃんは、僕を喜ばせる天才だ。

 僕が、可憐ちゃんの事を何時も想っているように、可憐ちゃんも僕の事を想ってくれている。

 僕は、それだけでも、凄く嬉しい。

 そして、可憐ちゃんと手を繋ぐ。

 帰ろうね、僕たちの家に。

 ずっと一緒だよ。これからもこの先も。