キス魔なカレシ。

 「頑張ったご褒美に、ここで食事しよう」

 郁弥くんと一緒に来たのは、前のクリスマス・イブに来たレストランだった。

 「予約してくれたの?」
 「そうだよ。ここの料理好きでしょ?」
 「うん、好きだよ。ありがとう」

 私たちは、店員さんに案内されて前と同じ席に着いた。

 「何食べたい?」
 「前と同じのかな」
 「前と同じので良いの?」
 「うん。だって、郁弥くんとの思い出の料理だから」
 「可愛い事、言ってくれるね?分かったよ、前と同じメニューを頼むね」

 そう言って、郁弥くんは店員さんにスマートに注文してくれた。