キス魔なカレシ。

 「そろそろ、夕食にする?」

 郁弥くんの声で、勉強していた手を止めて時計を見ると、もう夜の7時だった。

 随分と勉強に集中していたみたいだ。

 「うん。それじゃ、作るね」

 私は、料理を作る為に席を立った。

 「いや、今日は僕が作るよ」
 「えっ?郁弥くんって、料理出来るの?」
 「簡単な物なら、作れるよ」
 「でも、申し訳ないよ」
 「どうして?いつも、可憐ちゃんが作ってくれてたでしょ?たまには、僕に作らせて?ね?」
 「それじゃ、お願いしようかな」
 「うん。すぐ、作るから待ってて」

 郁弥くんは、勉強道具を片付けるとキッチンに行ってしまった。

 そうして、待つこと数十分。

 「お待たせ。オムライス作ったよ」
 「わぁ〜!美味しそう!」

 郁弥くんが作ってくれたのは、まるでお店に売っているようかオムライスだった。

 いただきますと、手を合わせて一口食べると、やっぱり美味しかった。

 卵はふわふわのトロトロで、口の中が幸せになる。

 「ふふっ。良かった〜。それじゃ、僕も食べよう」

 郁弥くんは、上品にスプーンで掬う(すく)と食べ始める。

 それにしても、郁弥くんて欠点なんてあるのかな…。

 カッコよくて、頭が良くて、運動神経抜群、そのうえ、料理も出来る。

 いい所ばかりで、欠点なんて見つからない。

 「郁弥くんて、苦手なこととか欠点てないの?」
 「うーん。特にないかな?しいて言うなら、可憐ちゃんの事を好き過ぎることかな」

 そんなこと言ったら、私だって、郁弥くんの事が好き過ぎるけど!?

 いつも、甘い言葉をくれるから、心臓がドキドキしっぱなしだよ…!