私は郁弥くんの家にいた。

 家には帰りたくなかったからだ。

 雨で濡れた体をお風呂を借りて、温める。

 うん…。何だか、少しは落ち着いたかも。

 十分に温まったまったから、お風呂を出て郁弥くんがいるリビングまで行くと、温かいココアを出してくれた。

 一口飲んで、ホッとする。

 「落ち着いた?」
 「うん…。ごめんね、ありがとう」
 「それで、どうしたの?」
 「それが…」

 私は、郁弥くんなお父さんが転勤する事、私も転校しなければいけない事を簡潔に話した。