「え?転勤?」

 それは、早朝におきた。

 真剣な顔をした両親に、呼ばれて話を聞く。

 お父さんの転勤が、決まってしまって私も転校する事になったとの事だった。

 「そんな、急すぎるよっ!」
 「いきなりの事で、混乱するのは分かる。けど、決まってしまったから仕方がないだろ?」
 「ごめんね…。郁弥くんと離れたくないわよね」

 そんなの当たり前だ。

 郁弥くんと離れるなんて考えられない。

 「どうにかならないの?」
 「すまんが、どうにもならないんだ」
 「ーーっ!」

 気づいたら、家の外へと走り出していた。

 後ろで、両親が何か言っているけど、聞こえないふりをする。