キス魔なカレシ。

 「私って、可愛いの」

 うん?いきなり、何を言い出すんだこの子は。

 まぁ、確かに可愛いど、自分で言うなんて余程自分の容姿に自信があるんだ。

 「だから、よく女子にいじめられたりしてて」

 可愛いと、大変な事もあるんだ。

 「いじめられた時に、郁弥くんが颯爽(さっそう)と現れて助けてくれたの。その時から、郁弥くんの事が好きなの」

 そんな、過去があったんだ…。

 郁弥くんの方を見ると「そうだっけ?」って顔してる。

 覚えてないんかーい。

 「君も罪な男だね」
 「全く、覚えてない」
 「郁弥くんが、覚えてなくても私が覚えてる!」
 「君も僕の事なんて、忘れて新しい恋しなよ。隣の彼なんてどう?」
 「厄介払いしようと、しないでくれるかい?」
 「優くんより、郁弥くんの方がカッコイイ!!」

 それは、小倉くんに失礼なのでは?

 「なんか、俺が振られたみたいな雰囲気止めてくれよ」
 「ドンマイだね」
 「いい加減、俺も怒るよ?」
 「怒ったら?全然怖くないから」

 今にも、殴り合いでもしそうな、一触即発な雰囲気。
 
 「二人とも、喧嘩するなら出ていって!今、大事な話してるの」
 「ごめん。可憐ちゃん」
 「悪かったね。静かにするよ」

 私が怒るて、まるで飼い主に叱られた犬のように静かになる。

 ちょっと、可愛いかも。

 「とにかく、学校には来た方が良いよ。花梨ちゃんは、可愛いんだし、恋人なんて直ぐにできるはずだよ?それに、私なんかを好きになる郁弥くんなんて見る目が無いんだから止めた方が良いよ…。言いたいことは、それだけだから。じゃ、そろそろ帰るね」

 私は、言いたかった事だけ言うと、部屋を出る。

 途中で花梨ちゃんのお母さんに会ってお礼を言われながら、家を出る。

 既に、空は真っ暗になっていた。