キス魔なカレシ。

 一向に、痛みが来ない。

 私が目を開けると、そこには彼女の手を掴んでる郁弥くんがたっていた。

 表情からして、今までにないくらい怒っているのが分かる。

 今にも、彼女を殺してしまうような殺気がこの場に充満していた。

 ゾクリと、背筋が凍る。

 「ふ、郁弥くん!?」
 「僕のカノジョに手を出すなんて、いい度胸してるね?」
 「〜っ!!」

 ドスの効いた声色。

 私を叩こうとしていた、女子はあまりの恐怖に声が出ない様子だった。

 私は、それを他人事のように見つめる事しか出来ない。

 「こ、これは違うの!!」
 「何が違うの?可憐ちゃんの事叩こうとしてたよね?この手でさっ!」
 「い、痛いっ!」

 郁弥くんは、掴んでた手を強く握る。

 「ふ、郁弥くん。私なら大丈夫だから、離してあげて!」

 意外にも郁弥くんは、素直に手を離すと、私の事を優しく抱きしめる。

 「可憐ちゃん。大丈夫だった?来るのが遅れてごめんね」

 先程の怒りが嘘のように、私の事を心配してくれる。

 私は、郁弥くんの服の上から感じる体温に、ホッとする。