キス魔なカレシ。

 「ねぇ、ちょっと聞いてるの!?」
 「は、はい」

 私は、今困っていた。

 複数の女子に呼び出され、体育館裏に行くと壁に追い詰められ、囲まれてしまった。

 彼女たちの表情は、険しく怒っているのがまる分かりだ。

 こ、怖すぎる…。

 せっかく、可愛らしい顔をしているのに、怒っている表情が怖すぎる。

 出来ることなら、今すぐにも逃げたいが、逃げる隙がない。

 「どうして、アンタみたいな普通な女が郁弥くんとか優くんに好かれるのよっ!!」
 「そ、そう言われましても…」

 どうやら、用件は二人についての事らしいけど…。

 正直、迷惑な話だ。

 「今すぐ、郁弥くんと別れてよ!」
 「え、それは嫌だよ」
 「はぁ!?」
 「私と郁弥くんが、付き合ってるのはお互いが好きだからだし、赤の他人であるあなたに、指図される言われはないよね?」

 私が言ったのは、本音だ。

 私たちは、真剣に恋をして恋人同士になった。

 だから、誰か言われ別れるなんて馬鹿馬鹿しい。

 「〜っ!調子に乗るなっ!」

 ますます、怒った女子が私の顔を目掛けて手を振り下ろす。

 あ、これ痛いやつだ。

 私は、来るであろう痛みに備えて、目を瞑る。