翡翠の一輪花
















漆黒の瞳と目が合う。


「あ、おい…………?」


『………会いたかった』


次の瞬間、私は葵の腕の中にいた。


ぎゅっと骨が折れちゃうんじゃないかってくらい力強く抱きしめてくる葵。


葵らしくないかすれている声に、かすかに震えている腕。


「………ごめんね、私も会いたかった」


いろんな意味を込めて、葵を抱きしめ返す。


トクトクと聞こえてくる鼓動。


それがどうにも切なくて、そっと葵の頬に両手を添える。


すると_


「っ」


困ったようにゆらゆら揺れる瞳が私をとらえて………









『ごほんっ』


『あらあら〜二人ともラブラブね〜』


ハッとして視線を前に戻すと、


顔をしかめている組長と、ニヤニヤしている愛美さんがいた。


「っ葵、は、はなして………」


さすがに恥ずかしくて葵の腕の中から抜け出そうとすると、


はなすまい、と葵にさらに力を込めて抱きしめられた。


ボッ///と顔が熱を帯びる。


『翡翠………』


そんななか、耳元でそっと私の名前を囁いた葵。


はぁ……と、葵の吐息が耳にかかる。


「っ///」









『二人とも、いったん部屋に戻ったらどうかしら?続きはまた今度にしましょう』


「愛美、さん………」


『翠ちゃん、また後で話しましょうね。………聞きたいこと、たくさんあるもの』


「は、はい……!」


『翡翠、行くぞ』


葵に手を引かれて組長室を出る。









***


その後の組長室では…


『あなた、どうするの?』


『………そんなの決まっているだろう』


『やっぱりそうよね。私も翠ちゃんの方がいいと思うわ』


『ああ。それに、アイツは頑固だからな』


『そういえば葵、昔から”翡翠じゃないと結婚しない”って駄々こねていたわねぇ………』


『となると、花梨はもう必要ない。………小鳥遊組の方に連絡をいれておけ』


『………ちょっと急すぎない?』


『そうか?』


『えぇ』


『……………なら、三日後だ。それ以上は待たない。』


『いいんじゃないかしら?』


『翡翠にはまだ詳しいことは説明していないが…………ま、あとは葵がなんとかするだろ』


『なにせ、私たちの自慢の息子だものね』


…………と、そんな会話が繰り広げられていた。