翡翠の一輪花

”高瀬組”



ここら一帯で、その名を知らない者はいない。



そう言われている、全国イチのヤクザ。



そんな一般人は恐れて近づかない巨大なお屋敷の門の前に、私は立っていた。



…………なぜなら、



「おい、お前、ここは高瀬組だぞ?」



「お前みたいな女が入っていい場所じゃねぇ。………ほら、さっさと帰りな」



門の見張りをしている、二人の厳つい男がまったく相手をしてくれないからである。



「だから私は……………」



「………………しつけぇな、そろそろ力尽くで追い出すぞ?」



「……………」



この二人、新入りだな。



見たことない顔だし、私が誰かわかってない。



「あの………、」



流石にイラついて、口を開きかけた次の瞬間。









「…………おい、何してる」



辺りに低く、威圧感のある声が響いた。



「「こ、紺サンっ……!?」」



ビシッと、目の前の男たちが急に姿勢を正す。



「………まさか、その女に何かしたのか?」



「え、いや、俺たちは………」



「怪しい女がウチに入ろうとしてたモンで、追い出そうと………」



キョトンと、不思議そうな顔をして話し出す男たち。



…………それが、”彼”の地雷だとは知らずに。



「…………………お前ら、その”怪しい女”はウチのお嬢だ」



さらに低く、殺気を含んだ重低音が辺りに響く。



「「へっ?」」