ふと足を止め、
目の前にそびえ立つ大きなお屋敷を見上げた。
なつかしい………
前にここに来たのはいつだっけ……?
たしか、五年前?
あれからもうそんなに経ってたんだ……
「ふう……」
深呼吸をして呼び鈴を鳴らす。
ピンポーン
『はーい!ちょっと待っててください……!』
聞こえて来たのはかわいらしい女の子の声。
数秒後、
『お待たせしました。』
”ひょこっ”という効果音と共に出て来た黒髪の女性。
少し幼さが残る顔に、ふわっと香る香水。
…………かわいい。
『………あの、ご用件はなんですか?』
何も話さない私を不思議に思ったのか、少しけげんな顔で問いかけてくる彼女。
「………水瀬葵っていますか?」
『え……?』
なぜか驚愕の表情を浮かべた彼女は眉間にシワをよせ、
『………失礼ですが、どちら様ですか……?』
警戒するようにそう聞いてきた。
「えっと…………」
『葵さまに伝えたい方がありましたら、私があとで伝えておきます。』
「いえ、私は………」
『花梨ちゃん、大丈夫?もしかしてなにかあった……?』
ふいに彼女の背後に続く廊下の方から聞き覚えのある声が聞こえた。
『あっ、紺さん!あの、葵さまに会いたいって言ってる女性がいて………』
すかさず助けを求めた彼女。
そして、
後ろからスッと顔を出して、こちらを見たどこか優しそうな雰囲気の男性。
『翡翠…………?』

