翡翠の一輪花

「翡翠は?」


『ん?さっき一瞬だけ戻ってきて、もう疲れたから部屋に戻るって』


「じゃあ俺も戻る」


『了解〜』


『てか葵、お前さっき組長に呼び出されてなかったか?』


『なにを言われたの?』


「…俺、今からから正式な若頭だって」


『『『!?』』』


『マジで!?』


『すご…』


『葵、おめでと』


「…ああ」


『翡翠も喜ぶんじゃない?』


「まだ翡翠には伝えない」


『なんで?』


「条件が翡翠を守ることだから」


『『『…』』』


『そ、っか…』


沈黙が流れる。


『あっ、葵さま戻ってこられたんですね…!何を話されてたんですか?』


『葵、ついさっき正式な若頭に任命されたんだって』


『え!おめでとうございますっ…!私、葵さまの婚約者としてとても誇らしいです…!』


「…」


『花梨、もう遅いしお前も部屋に戻れ』


『そうそう。明日も早いし』


『もうちょっとここにいたかったですけどしょうがないですね〜みなさんおやすみなさい』


『おやすみ〜』


花梨が宴会場から出て行ったのを横目に確認した紺が口を開いた。


『ということは、花梨ちゃんはもう切り捨てられるってこと?』


「そうなるな」


『ふーん?』


『それでいいんじゃねぇの?』


『俺たちとしても、ここにいる女は翡翠だけでいい』


『冬夜、そんなこと言わないであげてよ〜』


『紺だってそう思ってるだろ?』


『まあね。俺たちが守るのは翡翠だけでいい』


『めずらしく意見が合ったな』


『これだけはゆずれないからね〜』


「おいお前ら、翡翠には手を出すなよ?」


『『『…』』』


『それだけは約束できないな〜』


『でも、守ることには全力でいく。』


『うん。俺たちは翡翠を失ったらもう俺たちじゃなくなるから』


「…そうだな」


俺たちが翡翠に寄せる想い


それは、


とても大きくて重い。


***