翡翠の一輪花


『それでは…………翡翠の復帰を祝ってカンパイ!!』


『『『『『おぉー!!』』』』』


紺の音頭に続き、組員たちの大きな声で宴会がスタートした。


ガヤガヤと静まることのない大広間。


この感じ、久しぶり_


騒がしいのはあんまり好きじゃないけど、この空間は嫌いじゃない。


だって…………


ここにいるのはみんな、”家族”だから。


組に引き取られる奴は、だいたいが訳アリ。


だからこそ血がつながっていなくてもお互いを”愛し合う”んだ。


つらい過去を忘れられるように_


それは私でも言えることだ。


私は、葵に”愛されている”


…………だけど、それはあくまで”家族”として。


それは痛いほどわかってる。


だから…………


今も私は気持ちを隠し続ける。


…………一生伝えることのない、初恋の人への想いを_









「盛り上がってるね」


『宴会なんてめったにないからな』


『みんな、嬉しいんだよ』


『そうそう。だって、”あの翡翠"が戻って来たんだよ?』


「…………」


『…………あの、ちょっといいですか……?』


『ん?』


『………”翡翠”って………彼女の名前、なんですか……?』


『あ、花梨ちゃんは"翡翠"知らないんだっけ?』


『はい………私あんまりそういうコト、知らなくて………』


『翡翠はね………あ、せっかくだし葵が説明してあげたら?』


『あ?』


『だって葵が一番翡翠のこと詳しいじゃん』


『『確かに』』


『………』


『私も、葵さまに教えてもらいたいです…!』


『…………………"翡翠"は、