後には畳スペースのあるスイートルームは、1年前に予約しないと取れない状態になった。

カサブランカ東京の滑り出しは上々であった。

従業員の教育は厳しいがお給料が良いので、質のいい従業員を集めることができた。

宿泊費はほかのラグジュアリーなホテルの平均値より20%位高く設定してあったが、コンセプトがしっかりとしたホテルなので、広報もぶれずに発信することができて、集客も心配には及ばなかった。

その辺はYSプランニングで培った由里の広報活動が功を奏した。

強気の価格設定もいい方向に働いた。

ショップではカサブランカの刺繍のついたタオルやバスローブ、カサブランカの柄の入った湯飲みやグラス、カップ&ソーサーにカサブランカの花の模様が入っているホテルのオリジナルグッズが好評だ。

ショップの売上げも通常のホテルでは考えられないほどの売上げを記録した。

ロビーの横にカフェスペースも併設されたうさぎ屋が入っている。

カサブランカでしか買えない最中や饅頭を由里と田村で考案した。

これが好評で田村はニューヨークでも売り出したいと言って、リアムに承認を取っていた。

リアムは2年後には、ニューヨークのRKO系列のホテルを全面リニューアルして、カサブランカ・NYを計画している。

そこにうさぎ屋に出店して欲しいと思っているので、今はカサブランカ東京だけの限定品にしてほしいと言っているようだ。

田村は由里にうさぎ屋のコンサルタントになってほしいと言ってきた。

モナキューブや最中の餡を少し変えて種類を増やしたことが、日本でも好評で売り上げは絶好調らしい。

来春パリにもオープンするのでその相談に乗ってほしいと言われたのだが、リアムは了承しそうにない。

由里はぜひやってみたい内容なのだがリアムの反対を押し切ってまでやる事はできないと思っている。

もし受ける事が出来たとしても、もう由里の会社はないのでどのように受けるのかそれもまた問題だ。

とりあえず田村にはリアムに相談してみる事、また田村はどのくらい支払う余地があるのかもはっきり聞かせてもらった。

でも、ホテルの開業準備も整って今度は結婚式の準備だ。

どちらにしてもそのあとになるだろう。