スイートルームの各部屋のネーミングも花の名前が使われたのだが、客室係の女性スタッフたちのアイデアだった。

女性ならではの視点だった。名前も、客室係の女性全員に公募して決まっていった。

最上階の15階とその下の階がスイートルームでスイートに泊まる方は、14階の専用ロビーでチェクイン、チェックアウトができる。

そしてスイートルーム専用のコンシェルジェも配置されている。

スイートルームはその部屋の名前の花のイメージで、内装を決めているため全室内装が違う。

これも非常にやりやすかった、アメリア、ブラックローズ、ガーデニアなど限りなくある花のイメージを表現するのも楽しかった。

内装の仕様決めにはコーデイネーターが引っ張ってくれた。

備品などのグッズは客室係のチーフが中心になってくれた。

備品の制作をする会社を決めるのにも由里は関与した。

少しでも安くこちらの意図を反映してくれるところを探した。

布製品、紙製品、陶器製品、ガラス製品、何社にもなって目が回りそうだったが、担当者がみんな手分けしてサポートしてくれた。

そしてここで決定した制作会社は後にカサブランカホテルが世界展開する時も備品は一貫して日本製を押し通したので、各社思わぬ事業展開になっていった。

エントランスのアロマもフロント業務にも就く客室係の提案で、カサブランカをイメージする香りを漂わせるようにしたが、カサブランカは香りがきついので甘さを控えめにした爽やかな香りにカサブランカの香りが控えめに香るものを作るのに大変苦労した。

実際にエントランスに流してみるとにおいが変わったり鼻についたりとこれが一番の難関だった。

宴会やパーテイのプラン、ブライダルもカサブランカの特徴を出したものを考えた。

チャペルは広いガーデンにある。

ガーデンにあるので使わないときにはガラス張りの中が見えるチャペルを中心にした、ガーデンプランを作り込んでいった。

ガーデンに関してはペントハウスでお世話になったフローリストの東京本社円山花壇にお願いした。

彼女も打ち合わせや作り込みの時には、東京に来てくれた。

丁度里帰りにもなってうれしいと言っていた。

セレモニーの時にはチャペルを開放して花で飾り付けるガーデンは、秘密の花園のような幻想的な雰囲気になった。

彼女にお願いして正解だった。

お花のアレンジやお庭の作り込みも素晴らしかった。

結婚式のお花も任せられる。

オープンの1カ月後には第一号の挙式も予約されているのだ。

スイートルームは12部屋あり、うち3部屋は畳のスペースがあるものにした。

半畳のフチなし畳4枚と床の間に見立てた板間があるもので、畳スペースの部分は少し底上げしている。

開業後わかったことなのだが、この畳スペースのあるスイートが一番人気で外国からのお客様のみならず日本人のお客様にも好評で、なぜかスイートルームが一番稼働率が良い。ほとんど90%台で稼働している。

何時も1室は予約を入れずに空室にしておくので、実質満室状態が続いている事になる。