とにかくリアムは上機嫌で結婚指輪をオーダーした。

裏には定番の言葉を彫り込んでもらうようにお願いした。

オリジナルオーダーなので3週間はかかるらしい。

そんなに急いで結婚指輪を作る必要はないのだ。

結婚式は半年後になるのだから、でもリアムは婚姻証明書はすぐに作って由里をオハラにしたいらしい。

由里は日本国籍を捨ててアメリカ国籍となる。

面倒な手続きは顧問弁護士に依頼済みだということだ。

そのためにも結婚指輪を早く作って由里の指にはめたいと、リアムは本気で思っている。

もうどこにも由里を逃がしたくないからだと言った。

由里が黙って日本に帰ったことが、リアムにはひどくトラウマになっているようだ。

由里はその辺については申し訳ないと思っているので、リアムのしたい様にしてもらっている。

由里は遅いランチだったのでお腹はすいていないが、ペントハウスに帰って夕食を作ることにした。

リアムは由里の作る料理が食べられて満足そうだ。

「ねえ、ケンとミッシェルはつきあってるの?なんかいい感じの雰囲気だったよね?」
というとリアムは

「そうかなあ。あまりよくわからない、興味もないし」

とリアムは冷たく言い放つ。

ほんと自分のこと以外は極端に興味が薄い。

由里のことになると途端に、瞳のアクアマリンの色が濃くなるのに…困ったリアムだ。

でもそんなリアムが愛おしくて、由里は甘すぎる束縛にも怒る気がしない。

由里もまたリアムと同じ様なものなのだろう。

ほんの2週間前までは、絶望のどん底から少しずつ浮上しかけていた由里だったが、急に幸せの白い光の中に居る様になって戸惑う気持ちの方が多い。

今はリアムの優しさと愛情に甘えていたい。