次の土曜日ミッシェルの休みの日に合わせて、3人で真理子の旦那さんの店で遅めのランチの時間に集合した。

ミッシェルはRKOの企画部の仕事が楽しいと言った。

YSプランニングの時の由里の考え方やプランニングの立て方など、とても役に立っていると言ってくれた。

由里はうれしかった。真理子もこの店を出すための費用を出資してくれた人がいたのだと言った。

パトロンはだれか何度聞いてもご主人のジョンは教えてくれないらしい。

由里はその出資者はリアムだと思っている。

でも、負け戦はしないリアムだ。

この店がそれなりに収益を上げるのを確信して、出資したのだろう。

リアムとはそういう人だ。

3人で心底笑いあって二人はリアムへの憤りを吐き出して、すっきりしたと言った。

そして食事を堪能して笑い転げていると、リアムとケンが突然参入してきた。

「どうしたの二人して珍しいわね。ランチ食べそこねた?」

と聞くとリアムは

「いや、そろそろお開きになるころかと思って迎えに来た。帰りに由里と寄りたいところもあるんだ」

そう言って由里の隣に座った。

ケンはここで少し食べて帰りにピザをお持ち帰りするらしい。

何やらミッシェルとケンはいい感じの雰囲気だ。

ここのピザは本当においしい。

実は前にペントハウスのお披露目でみんなに集まってもらった時に、由里の発案で和風のピザを作ったのだが、それをそのままメニューに加えたら大好評だったらしい。

ケンもその和風ピザが一番のお気に入りらしい。

名前はなぜか“ラ・ピッツアデユリ”になっていたのにはびっくりした。

そして、はちみつとチーズだけの薄い生地のデザートピザもメニューに入っていた。

これも由里の発案だった。日本で人気なのだと教えて作ったものだ。

真理子は由里のレシピを参考にさせてもらって、感謝していると言ってくれた。

また昼食の後夕食までの時間はクローズになるのだが、ピザのテイクアウトだけやればもっと売り上げが伸びるのではと提案すると、二人ともそれいいねと言っていたので実現するかもしれない。

「ほんとに由里って、さらっとそんなアイデアが浮かぶんだよね。すごいなあ。またYSプランニング始めたら?」

と真理子

「う~ん、散々みんなに迷惑かけたのだから、もうそれはないな」

「それなら企画部のアドバイザーはどう?由里がいれば100人力なんだけどな。」

とミッシェル

「それいいね。どう由里?考えてみてよ。ホテルのプランニングもやってもらうのだから非常勤でいいので席置いてもらえれば助かるよね。リアム」

とケン。肝心のリアムは

「う~ん、今はホテルに集中してほしいからね。そのあと結婚式もあってその準備もあるし結婚式を終えてからゆっくり考えよう」

「そうね。そうさせてもらえればうれしい。よく考えてみるね」

そう言って由里はリアムと帰っていった。