真夜中の償い

ホテルに関しては、リアムは今でも由里にプランニングをしてほしいと思っているようだ。

少し位オープンが遅れても構わないというリアムに、由里は頷くしかなかった。

由里は東京に帰ってから一度ホテルを見に行っている。

あまりにリアムに会いたくてたまらずリアムと接点のあるホテルに行けば運が良ければ、リアムを陰から見られるかもなんて思って行ったのだ。

でもこれは内緒にしておこうと思う。リアムにまた笑われる。

寂しいときは携帯でとったリアムの写真を眺めていた。

何回携帯を変えても写真は必ず新しい携帯に移していたのだ。

未練がましいがそれまで捨てることはできなかった。

とても辛く苦しんでリアムと離れることを決断したのに、リアムと会ってしまえばリアムを拒否することができない。

そんな自分の意志の弱さに呆れてしまう。

今回は大事なYSプランニングまで手放してミッシェルや真理子にまで迷惑をかけて決断したのに、また同じことが起きたら由里は耐えられるだろうか。

リアムは女性を引き付ける。

意図しなくても好意を寄せられるのだ。

そしてリアムはそれに気づかない。

そんなことには無頓着でただ由里がそばにいればそれでいいというのだ。

他の事は二の次でただ由里だけを求めてくれる。

話をする中でわかったのだが、リリアは10年以上も前から知っていて妹のような感覚らしい。

でもリリアはいつまでも中学生の女の子ではない。

リアムはその辺を理解していなかったのだ。

そして彼女の父親が老獪な策士であることも、忘れていたのだ。

今回のことで十分思い知ったとリアムは笑っていた。

今由里はニューヨークに帰っても仕事はない。

由里は自分でしっかりと地に足をつけて生きていくことが人生の教示なのだ。

誰かに養われて暮らしていけるとは思わない。

もう一度しっかりとリアムと話さなければならない。