そのあと中華街に行って学生の頃よく行った安くてうまい中華レストランで、二人共もりもりと食べた。
由里は帰りに炒飯を持ち帰りにしたほどだ。
食事中話したのは学生の頃の笑い話や、裕司と洋子の近況などだ。
二人には赤ちゃんができたらしい。
ほんの1~2週間前にわかったらしいが、裕司は大喜びしたり落ち込んだり忙しいらしい。
なぜ落ち込む必要があるのかと笹森に聞いたら、裕司は自分は4歳の頃から園に入れられて親の記憶もないし、父親はどんなものかもわからずに育った。
ちゃんと父親に成れるのか子供を育てていけるのか、心配して落ち込んでいるという。
笹森は裕司に≪お前は園で立派に兄貴代わりや小さな子供達には父親代わりをやってきただろう。どんな時もみんなの防波堤になり守ってきたじゃないか。今度は自分の子をそうやって守ってやればいいんだよ。他の男達よりも立派な父親になるよ。俺が由里にケガさせた時もぼこぼこに殴りに来たじゃないか、兄貴として大事な妹をちゃんと守ってたよ。≫と言ったそうだ。
その通りだ。裕司は洋子さんという伴侶を得て幸せになった。
そして家族が増えるのだ。
二人の幸せを願わずにいられない。
こんな自分で恥ずかしい。
頑張って前を向いて生きようと由里は改めて覚悟をした。
「今すぐは会いにいけないけれど、赤ちゃんが生まれるころにはきっと会いに行くわ。そしておめでとうって言わなきゃね。一日も早くそんな日が来るように頑張る」
そう言って、由里は一生懸命に微笑んだ。
大学の中庭で見た微笑よりは少し元気そうな笑顔を見る事ができて、笹森はほっと安心した。
お腹がはち切れる程食べて大満足の二人だった。
笹森に新しい携帯の番号を教えてラインまで設定させられて、今のところライン相手は笹森だけという寂しい状況でも、由里はなんだか一歩前に踏み出せたように思った。
一人でいると笑うリアム拗ねるリアムそして寝顔のリアムその美しく整った顔を思い出しては、苦しい思いをしていた。
ただリアムが幸せになってくれれば、それでいいと思った。
自分が側にいられなくても、リアムを支えて愛し合って人生を歩んでいける人がいてくれれば良いと思った。
でも一人眠るベッドでリアムの彫像のような肢体を思い出して、彼に抱かれて眠った幸せだった日々を思うと、失くしたものが手を離したものがどれほど大きくて大切なものだったかを思い知った。
でも今日笹森がくれた温もりに由里は癒されて、もう一度強く毅然と前を向いて生きていこうと思えたのだ。
笹森は由里のことを何も聞かなかった。
なぜ東京に帰って来たのかは、きっと裕司に聞いて知っているのだろう。
リアムから裕司に連絡がいってるのは間違いないだろう。
笹森のそんな気遣いがうれしかった。
もう少し体重を取り戻して服装やお化粧もきちんとすることができるようになったら、就活を再開しよう。
まずは自分を整えることから始めようと、由里は焦らずにゆったりと暮らすことを始めた。
笹森とは週に2回ほどあっては、食事に行ったり買い物に連れて行ってもらったりするようになった。
彼はまめにラインをくれて裕司や洋子のことも、面白おかしく教えてくれる。
リアムのことは一切話題にしない。
彼の会社が東京のRKOのホテルのセキュリテイーやIT関連を請け負っているので、接触はあるはずなのだ。
でも笹森は一度もそんな話題には触れなかった。
笹森の優しさと温もりのお陰で、由里は少しずつ自分を取り戻していった。
由里は帰りに炒飯を持ち帰りにしたほどだ。
食事中話したのは学生の頃の笑い話や、裕司と洋子の近況などだ。
二人には赤ちゃんができたらしい。
ほんの1~2週間前にわかったらしいが、裕司は大喜びしたり落ち込んだり忙しいらしい。
なぜ落ち込む必要があるのかと笹森に聞いたら、裕司は自分は4歳の頃から園に入れられて親の記憶もないし、父親はどんなものかもわからずに育った。
ちゃんと父親に成れるのか子供を育てていけるのか、心配して落ち込んでいるという。
笹森は裕司に≪お前は園で立派に兄貴代わりや小さな子供達には父親代わりをやってきただろう。どんな時もみんなの防波堤になり守ってきたじゃないか。今度は自分の子をそうやって守ってやればいいんだよ。他の男達よりも立派な父親になるよ。俺が由里にケガさせた時もぼこぼこに殴りに来たじゃないか、兄貴として大事な妹をちゃんと守ってたよ。≫と言ったそうだ。
その通りだ。裕司は洋子さんという伴侶を得て幸せになった。
そして家族が増えるのだ。
二人の幸せを願わずにいられない。
こんな自分で恥ずかしい。
頑張って前を向いて生きようと由里は改めて覚悟をした。
「今すぐは会いにいけないけれど、赤ちゃんが生まれるころにはきっと会いに行くわ。そしておめでとうって言わなきゃね。一日も早くそんな日が来るように頑張る」
そう言って、由里は一生懸命に微笑んだ。
大学の中庭で見た微笑よりは少し元気そうな笑顔を見る事ができて、笹森はほっと安心した。
お腹がはち切れる程食べて大満足の二人だった。
笹森に新しい携帯の番号を教えてラインまで設定させられて、今のところライン相手は笹森だけという寂しい状況でも、由里はなんだか一歩前に踏み出せたように思った。
一人でいると笑うリアム拗ねるリアムそして寝顔のリアムその美しく整った顔を思い出しては、苦しい思いをしていた。
ただリアムが幸せになってくれれば、それでいいと思った。
自分が側にいられなくても、リアムを支えて愛し合って人生を歩んでいける人がいてくれれば良いと思った。
でも一人眠るベッドでリアムの彫像のような肢体を思い出して、彼に抱かれて眠った幸せだった日々を思うと、失くしたものが手を離したものがどれほど大きくて大切なものだったかを思い知った。
でも今日笹森がくれた温もりに由里は癒されて、もう一度強く毅然と前を向いて生きていこうと思えたのだ。
笹森は由里のことを何も聞かなかった。
なぜ東京に帰って来たのかは、きっと裕司に聞いて知っているのだろう。
リアムから裕司に連絡がいってるのは間違いないだろう。
笹森のそんな気遣いがうれしかった。
もう少し体重を取り戻して服装やお化粧もきちんとすることができるようになったら、就活を再開しよう。
まずは自分を整えることから始めようと、由里は焦らずにゆったりと暮らすことを始めた。
笹森とは週に2回ほどあっては、食事に行ったり買い物に連れて行ってもらったりするようになった。
彼はまめにラインをくれて裕司や洋子のことも、面白おかしく教えてくれる。
リアムのことは一切話題にしない。
彼の会社が東京のRKOのホテルのセキュリテイーやIT関連を請け負っているので、接触はあるはずなのだ。
でも笹森は一度もそんな話題には触れなかった。
笹森の優しさと温もりのお陰で、由里は少しずつ自分を取り戻していった。



