折り返し裕司から電話が入り
「由里は携帯を変えているみたいだ。この1週間連絡をしてこない所を見ると、リアムのことが吹っ切れるまでは、俺にも接触はしてこないだろう。由里はそういう子だ。自分一人で悩んで足掻いて考えてしっかり前を向けるようになるまでは、俺にもだれにも頼っては来ないよ」
リアムはわずかな希望は持っていたが、きっとそうだろうと思ってはいた。
「わかった。ごめんユウ兄。でも僕はあきらめないよ。必ず由里を見つけて僕のもとに連れ戻す」
そう言ったリアムに裕司は
「それが由里の幸せになるのかよく考えてほしい。由里はきっと考え悩んだ末に決断したと思う。また、リアムが由里のことを傷つけて裏切ることになるくらいなら、今手を放してやったほうがいいんじゃないか?」
「いやだ。由里は僕にとって何にも代えがたい大切な人なんだ。諦めるなんてできないよ。由里がいないと息もできない」
「それならなんで由里より仕事を優先させたんだ。彼女が傷ついていることをわかっていながら、なんで直ぐに追いかけなかった。それがすべてじゃないか。だから由里はリアムのもとを去ったんだよ。自分がリアムの邪魔になっていると、リアムの隣に立つのは自分には相応しくないと思っていたからね。リアムもわかっていただろう?俺たちは特殊な子供時代を送っている。普通じゃないという観念と不要な人間だから捨てられたという思いが、いくら仕事に成功しても立派に自分で金を稼げるようになっても、たとえ愛した人に愛を返されても、心のどこかにそんな引け目があるんだよ。またいつか裏切られて捨てられるという恐怖を抱えて生きているんだ」
リアムは何も言えなかった。
その通りだ。なぜ直ぐに追いかけなかったのか、それがすべてなのだ。
由里がペントハウスを出てしまう前に捕まえることができていたなら、この腕に抱きしめて絶対に逃がしはしなかった。
「わかったよ。ありがとうユウ兄。でも僕は由里をあきらめることはできないよ。必ず由里を見つける。彼女を心から愛しているんだ」
今のリアムにはそれしか言えなかった。
「そうか、じゃあ俺も由里を見つけてもリアムに知らせるかどうかは、わからないとだけ言っておこう。由里の意志と考えを優先させる」
そう言って裕司は電話を切った。
側で電話を聞いていた妻の洋子は涙を流していた。
裕司達が心にそんな闇を抱えていたなんて知らなかったと言って、裕司に縋って泣いている。
「大丈夫だよ。洋子、ちょっとリアムにお灸を据える為におおげさに言っただけだ。心配するな。俺は洋子のことは信じているし愛しているよ。そんなに泣いたらお腹の子がびっくりするだろう。とにかく由里を見つけないと、あいつ東京にいるみたいなのに、俺に連絡してこないなんて、何考えているんだ。見つけたらお仕置きしてやる」
洋子は先週妊娠が分かったばかりで、悪阻で苦しみながらも、裕司の秘書をまだ続けてくれている。
これ以上洋子に負担はかけられない。
「由里は携帯を変えているみたいだ。この1週間連絡をしてこない所を見ると、リアムのことが吹っ切れるまでは、俺にも接触はしてこないだろう。由里はそういう子だ。自分一人で悩んで足掻いて考えてしっかり前を向けるようになるまでは、俺にもだれにも頼っては来ないよ」
リアムはわずかな希望は持っていたが、きっとそうだろうと思ってはいた。
「わかった。ごめんユウ兄。でも僕はあきらめないよ。必ず由里を見つけて僕のもとに連れ戻す」
そう言ったリアムに裕司は
「それが由里の幸せになるのかよく考えてほしい。由里はきっと考え悩んだ末に決断したと思う。また、リアムが由里のことを傷つけて裏切ることになるくらいなら、今手を放してやったほうがいいんじゃないか?」
「いやだ。由里は僕にとって何にも代えがたい大切な人なんだ。諦めるなんてできないよ。由里がいないと息もできない」
「それならなんで由里より仕事を優先させたんだ。彼女が傷ついていることをわかっていながら、なんで直ぐに追いかけなかった。それがすべてじゃないか。だから由里はリアムのもとを去ったんだよ。自分がリアムの邪魔になっていると、リアムの隣に立つのは自分には相応しくないと思っていたからね。リアムもわかっていただろう?俺たちは特殊な子供時代を送っている。普通じゃないという観念と不要な人間だから捨てられたという思いが、いくら仕事に成功しても立派に自分で金を稼げるようになっても、たとえ愛した人に愛を返されても、心のどこかにそんな引け目があるんだよ。またいつか裏切られて捨てられるという恐怖を抱えて生きているんだ」
リアムは何も言えなかった。
その通りだ。なぜ直ぐに追いかけなかったのか、それがすべてなのだ。
由里がペントハウスを出てしまう前に捕まえることができていたなら、この腕に抱きしめて絶対に逃がしはしなかった。
「わかったよ。ありがとうユウ兄。でも僕は由里をあきらめることはできないよ。必ず由里を見つける。彼女を心から愛しているんだ」
今のリアムにはそれしか言えなかった。
「そうか、じゃあ俺も由里を見つけてもリアムに知らせるかどうかは、わからないとだけ言っておこう。由里の意志と考えを優先させる」
そう言って裕司は電話を切った。
側で電話を聞いていた妻の洋子は涙を流していた。
裕司達が心にそんな闇を抱えていたなんて知らなかったと言って、裕司に縋って泣いている。
「大丈夫だよ。洋子、ちょっとリアムにお灸を据える為におおげさに言っただけだ。心配するな。俺は洋子のことは信じているし愛しているよ。そんなに泣いたらお腹の子がびっくりするだろう。とにかく由里を見つけないと、あいつ東京にいるみたいなのに、俺に連絡してこないなんて、何考えているんだ。見つけたらお仕置きしてやる」
洋子は先週妊娠が分かったばかりで、悪阻で苦しみながらも、裕司の秘書をまだ続けてくれている。
これ以上洋子に負担はかけられない。



