そんなリアムにケンは

「リアム、僕は心底君に失望したよ。本来のリアムはどこに行った。由里が去ったことを嘆き悲しんでいるより由里を探せよ。由里を取り戻すためにどうしたらいいか考えろ。そしてすぐに行動しろ。悪かったと思うなら由里が許してくれるまで頭を下げろよ。由里がいないと生きていけないくせに、こんなところで寝ている場合じゃないだろ。由里の気持ちを考えろ。リアムのために由里は会社まで廃業にしてニューヨークを去ったんだ。追いかけろよ。由里のほうがリアムよりずっとつらい思いを抱えて日本に帰ったんだ。そしてミッシェルや真理子の今後のことも僕に頼んできたんだ。この手紙を読んでみろよ。自分のことより周りの人のことを心配して僕に頼んできたんだ」

「由里からの手紙?」

リアムはがばっと起き上がり手紙を読み始めた。

由里は大学卒業後YSプランニングに正社員として就職してくれて、立ち上げの時から力を貸してくれたミッシェルの今後を憂いていた。

安定したところに再就職できるようにケンに力になって欲しいと頼んでいた。

またパートではあるが真理子の再就職先も相談に乗ってくれるようにと、真摯につづられた言葉に由里の優しさが溢れていて胸が痛くなった。

リアムは何度も目元をぬぐいながら、にじむ文字を必死に追いかけて由里の手紙を読んだ。

ペントハウスのテラスについてもデザインは決まっているので、よければリリアの好きなように変更してもらって今の業者さんにお願いしてくれればうれしいと、リアムに伝えてほしいと書いてあった。

YSプランニングに関しては弁護士にお願いして廃業にするようにしているので、そちらは心配ないとも書いている。

そして、11月のRKOの10周年のパーテイに関してはすべて準備が済んでいるので、ハンドリングはミッシェルと真理子に任せていることなので、パーテイに関してはこれからもRKOの担当者と二人が対応してきちんとやっていってくれるので、心配ないと書いている。

でも間際になって自分がかかわれないことを謝罪している。

東京のホテルの内装のプランニングに関しては、素案は実は済んでいて各部屋のコンセプトとプレゼンがペントハウスの由里の書斎のデスクに、置いてあると書いていた。

これは素案なので参考にしてもらってもいいし全く別のプランナーにお願いしてもらうことになるので、その方のやり方でやってもらったほうが良いと思うと書かれていた。

そしてペントハウスに残る由里のものは、ミッシェルと真理子に頼んで全て処分してもらうようにと願っている。

由里自身これからどうするかもリアムのことにも一切触れず、ただケンに面倒なことを頼んで申し訳ないと何度も何度も謝っている。

リアムに対しての恨み事は何も書かれていない。

RKOカンパニーのこれからのますますの発展を祈っているという言葉で、締めくくられていた。