「とにかく座って、簡単なお昼ご飯をつくっておいたから、ゆっくり食べましょう。リアムの子供のころの話もきかせるわよ」

とグランマが言うとリアムはあわてて

「グランマ変なこと言うなよ。ほんとに嫌になっちゃうなあ。二人を呼んだのは失敗だったかも」

後のほうは小さな声で由里にだけ聞こえるように囁いた。

由里は明るく笑って二人に

「リアムの子供時代のお話をたくさん聞かせてください」

「おいおい由里、意地悪だなあ。そんなのきいても面白くないよ」

と言って少し不貞腐れている。

おばあ様の手作りのサンドウイッチと温かいスープで、4人揃って楽しくお昼を食べた。

二人はリアムの子供の頃の武勇伝をたくさん話してくれた。

リアムはもう勝手にしてくれと言って、さっさと食べて庭に行ってしまった。

残された3人で笑いあって楽しく過ごした後、由里はリアムの寝室のクローゼットに自分の服などを片付けることにした。

主寝室には洗面バストイレも併設されているので、この部屋で生活のほとんどを済ませることができてうれしい。

主寝室は洗面と合わせると由里のアパートの一部屋がすっぽり入るくらいに広い。

勾配天井になっていて梁も2本見えている。

前に来た時に平屋だからできる仕様なのだとリアムに教えてもらった。

とても広い空間で気持ちが大らかになる。

リアムが何か手伝おうかと言って主寝室に入ってきた。

由里はあらかた片付けてしまったので大丈夫だと言ってリアムに微笑んだ。

由里はこの主寝室が一番好きだと言うと、リアムは嬉しそうに微笑んで

「僕もここが一番気に入っている。すごく落ち着くんだ」

と言って由里をそっと抱きしめた。

この頃のリアムは前にもましてスキンシップが多い。

グランパ達の目の前でも平気でハグしてきたり軽く唇に触れてきて、由里は恥ずかしくてすぐに真っ赤になってしまう。

そんな由里を見るのが楽しいのか”可愛い”と言って構ってくる。

困ったリアムだ。

片付け終えると由里はキッチンにいるグランマに

「グランマ 夜は私が和食を作ってもいいですか?」
と尋ねた。

「由里は何をしなくてもいいのよ。3日くらいしかいられないから。その間はこのグランマに任せて」

と優しく笑って気遣ってくれたが、由里は

「私はお料理が大好きでストレスがたまると和食を作って食べるとすっきりするんです。ずっと入院していたのでお料理したくてうずうずしてました。だから一緒に何か作りたいです」

というとグランマもわかったと言って、二人で大きな冷蔵庫をのぞき込んでメニューを考えた。