その後は特に入院は必要ないけど家で身の回りのことをしてくれる人がいないなら、もう少し体を動かせるようになるまで入院したほうがいいと言った。

松葉杖を使うにも左腕は使い物にはならないので、片手で松葉杖を扱えるようになるまでは入院を勧められた。

それには２～３週間位かかると言われて、由里は家に帰るといった。

リアムはあと１週間したら東京の方は片が付くので、そうしたら由里をペントハウスに連れて帰って世話ができると言った。

昼も帰ってこられるし夜もできる限り家で仕事をすれば問題ないので、１週間だけ入院していてほしいと言われた。

由里は自分の家に帰って一人でも大丈夫だと言ったけれど、ナタリアの問題が解決するまでは一人にはできないの、一点張りで結局由里が折れることになった。

そして病院の方もお見舞いに来る人は予め名簿にある人しか部屋には通さないという徹底ぶりで、由里はちょっと呆れたがそれだけ心配されていることが嬉しくてこそばゆい気持ちになった。

リアムはすぐに東京にとんぼ返りしなければならず、入院で必要になるものを看護師に聞いて自分ですべて揃えてくれた。

由里の下着までも入っていて、リアムはどんな顔をして買いにいったのかと思うと申し訳なく、でもちょっと可笑しくもあった。

きっとお店の人の方が驚いたのに違いない。

看護師さんより提案のあったもの以上の服を買ってきて入院中は病院の着衣なのだから、帰るときの一組でいいのにリアムは３着も服を買ってきた。

最初パンツスタイルにしたらしいが捻挫しているのにそれでは着にくいと思ったらしく、次にスカートにしたがこれもそんなに変わらないやっぱりワンピースがいいだろうと言う事になって、最終的には真理子に相談にのってもらい実は下着類は真理子に買ってもらったらしい。

いらぬ妄想をしていた自分を戒め由里はありがたくリアムから、服や下着や洗面道具などを受け取った。

リアムはその夜は病室に泊まり買ってきてくれた和食の高級なお弁当を二人で食べた。

さすが特別室だ。ソファーはベットにもなって寝具類もすべて揃っている。

リアムは朝早くに迎えを呼んでペントハウスによってシャワーを浴びて、プライベートジェットで東京に向かった。

ナタリアの件は弁護士を通じて警察にも訴えてもらっているそうだ。

リアムが東京に行ったその日に、警察の事情聴取があった。

目撃者もたくさんいるのでナタリアも言い逃れはできないみたいだ。

事務所での暴言もミッシェルが自分の携帯で録音していた。

またその時に仕事の妨害も録音していたので２件のキャンセルについても弁護士が調べて、ナタリアにいわれてキャンセルしたと言質を取ってくれた。

示談にするにしてもナタリアの支払う金額は相当なものだろう。

リアムが絡むと彼の１日の賃金だけでも目を見張るものがある。

それを３日も由里のケガのために費やしたのだ。

その上プライベートジェットでの東京とニューヨークの往復の航空運賃もプラスされる。

それが一番大きい賠償額になるだろうと弁護士はいったが、恋人関係でも認めてもらえる事なのだろうか？

少し疑問に思ったが弁護士は自信満々だった。