次の日由里が目覚めると、ソファーセットやミニキッチンやシャワー室にトイレまでついた特別室にいた。

相変わらず体中痛くて身動きが取れないので、看護師を呼んでトイレに行くのに体を起こしてもらい介助してもらった。

ちょっと気が滅入る状況だが仕方がない。

こんな時家族がいないので頼れる人がいない心細さがある。

入院なんて中学の時に骨折したとき1泊した事があるだけだ。

何が必要で着替えとかも何を用意すればいいのかわからない。

そう看護師に相談すると、この後レントゲンの検査と担当医師の診察があるので、それで入院期間も決まると思うからそれからまた相談しましょうと優しく言ってくれた。

由里より少し年齢が上のしっかりとした看護師で安心する由里だった。

お昼少し前に検査を終えて昼食後担当医師の診察があるということなので、車椅子に乗って病室に帰ると心配そうなリアムがいた。

看護師もリアムがいることにびっくりしたようで、どぎまぎしている。

リアムを初めて見て平気な顔をしているのは難しいだろうと、由里は少し申し訳なく思った。

“由里!”と言って抱き着こうとしたリアムを、我に返った看護師が阻止する。

体中打ち身や切り傷だらけで脚はひどく捻挫しているので、抱きしめられては悲鳴が上がる。

そういわれてリアムはちょっと悲しそうな眼をして

「大丈夫?昨日電話したとき意識不明の重体と聞いて飛行機でも一睡もできなかった。重体ではないよね?」

「ええっ、心配かけてごめんね。大事なお仕事中にびっくりさせたよね。仕事の方は大丈夫?真理子が大げさに言ったみたいなの。リアムに謝っておいてと言ってたわ。その後電話しようと思ったけど昨日はそれどころではなくて、また意識をなくすように寝てしまったの」

「僕のせいだ。ナタリアの事もっと警戒しておくべきだった。弁護士に処理をするように言ったから警察も動くだろう。2度と由里に近づかないようにするし今回の事もきちんと責任を取らせるよ」

「うん、わかった。ミッシェルや真理子にも心配をかけてしまって申し訳なかったわ。幸運にもここのお医者様がちょうどバーにいらしてその方がスムーズにこの病院に運んで下さったらしいの。外科の先生らしく担当医にもなって下さってこの後診察があるからお礼を言わなくっちゃ」

「診察には僕も同席するよ。僕からもお礼を言いたいし」

「昨日の夜中にも拘らずマットが来てくれて、こんなに豪華な病室を手配してくれたのリアムありがとう。お金は分割で返すわ」

「何を言ってるんだ。僕のせいで君がこんな目にあったんだ。そんなこと気にするんじゃない。何ならナタリアに全部払わせてやる」

そういってリアムは憤慨した。