看護師に状況を教えてもらい始めて自分の服を見てみると、敗れたブラウスからは下着が覗いているしブラウスもスカートも血まみれになっていた。

頭も強く打っているので絶対安静で、明日全身のレントゲンを撮るらしい。

気が付いたなら病院の着衣に着替えさせるといわれた。

もう遅いので二人に帰ってもらうように言ったが、二人共なかなか動こうとしない。

その時ミッシェルが

「実は1時間くらい前に、由里の携帯にリアムから電話があったんです。それで由里のことを話したんです。でも私あたふたしてしまって真理子に変わったんです」

今度は真理子が続ける。

「それで私ちょっと頭に来てたのでナタリアの事ってリアムがらみじゃないですか、それで由里がこんな目にあうなんて納得いかなくて、今までにあった事もちょっと盛り気味に話してしまいました。由里が意識不明の重体っていってしまいました。リアムはそれはもう慌ててしどろもどろになってしまって、ちょっと言い過ぎたと反省したんですが きっとすっ飛んできますよ」

「もう、真理子。リアムは何も悪くないのに彼は今東京で大事な契約に向けて詰めてる最中なのにどうしよう」

由里はリアムに電話しようとしたが、頭が痛いうえ腕も自由にならなくて断念した。

そこにリアムの第2秘書のマットが、遠慮気味に部屋に入ってきた。

リアムにたたき起こされたらしい、由里の入院のサポートなどをするように言われたと言っている。

おかげで特別室に入院させられるようだ。

保険に入っているとはいっても特別室なんて由里には無理だと言おうと思ったが、もう話す事も出来ず目を開けている気力もなくなってしまっている由里には

「リアムは今頃飛行機にのっています」

というマットの言葉は聞こえていなかった。