「やめてリアム。ナタリアのことはわかったわ。でも私自身の問題なのよ。これからリアムの横に立つなんてできないわ」

「僕は由里がいいんだ。由里でなきゃダメなんだ。愛しているんだ。由里は最高にかわいくて素敵だよ。笑った顔も怒った顔も泣いてる時もどんな由里もきれいだ。僕にとっては最高の女神だよ。施設育ちがなんだ。天涯孤独なんて言ったらユウ兄がへこむよ。由里にはユウ兄やシスターマザーや施設の仲間がいるだろう?彼らが由里の家族だって大学の卒業式の総代のスピーチで言っていたじゃないか。僕だって9歳で両親を亡くして大工の祖父母に育てられたんだ。祖父母がいなかったらきっと日本で施設に行っていただろう。でもそうしたら由里やユウ兄と一緒に育ったかもしれないね」

と言って由里を抱きしめた。

「どうして大学のスピーチを知ってるの?それに私なんかのどこがいいの?リアムならどんな女性でも手に入れられるでしょう?」

「由里はどんな状況も前向きにとらえて生きていける人だろ。しなやかでたくましい。それでいて人に優しい。細やかな心使いもできる女性だしそれに抜群に料理がうまい。由里の作る料理はおなかが満足するだけでなく心まで満たしてくれる。由里の気持ちがこもっているんだよ。さっきのうどんなんか食べていて泣きそうになったよ」

「そんなに褒めてもらってどうしたらいいかわからないわ」

と言って由里は頬を赤らめた。

「じゃあ、もう怒ってない。許してくれる?もう半日しか休暇が残ってないけどロングアイランドに行く?」

「ちょっと疲れたから今日はゆっくりしたいわ。片付けもやってないのよ洗濯物もたまってるし…」

「わかった。じゃあ僕がここにいてもいい?」

「それはいいけど」

「じゃあ由里の用事が終わったら夕食は食べに行こう」

二人は夕食にイタリアンのレストランに行った。

結局由里は、リアムを振り切ることができなかった。

自分の弱さに情けなくなる由里だった。

夜はリアムがペントハウスに誘ったけれど由里はそこに行けばナタリアとのキスシーンを思い出すし、今更だけどリアムが色々な女性と寝たベットで寝たくないと言った。