何とか自分を励まして3日目に家に帰った由里は、ドアの前で座り込んでいるリアムを見つけた。
「こんな寒い日に何やってるの。風邪ひくでしょう!」
「由里、やっと会えた」
そういってリアムは由里を抱きしめようとしたが、由里はそれを拒否した。
「悪いけど帰って、今はリアムと話したくない」
「嫌だ。由里が話す気になるまでずっとここにいる。ここで待ってる。何時間でも何日でもここで待ってる」
頑固で言い出したら聞かないリアムは、てこでも動かないだろう。
大きなため息をついて由里は仕方なくドアを開けてリアムを通した。
3日間留守をした部屋はすっかり冷え込んでいた。
暖房をつけて温かいコーヒーを入れた。
ちょうどお昼なので何か作ろうと食材を買ってきた。
何も考えずに料理をしたら気持ちも少しは落ち着いて、何とか時間を過ごせると思ったのだ。
ソファーにリアムを座らせてコーヒーを出して
「お昼におうどんを作るけど食べる?」
と聞くとリアムは目を輝かせて
「由里が作ってくれるならなんだって食べるよ」
と殊勝なことを言う。
「食べたら話をきいてくれる?」
「思い出したくないの。食べたら帰って」
と刺々しく答えると
「でも僕も引くわけにはいかない。あんな女の為に大事な僕の宝物を手放す気はないよ。ちゃんと説明させてほしい。お願いだ」
そういってリアムは由里の目をのぞき込んだ。
リアムのアイスブルーの瞳は魔法の力を持っている。
誰にもノーと言わせないのだ。
見てはいけないと思いながらも由里はリアムの瞳に、捕らわれてしまった。
「わかったわ。とにかくお腹がすいてるの。料理の邪魔はしないでね」
そういって由里はうどんを作り始めた。
ホテルでは脂っこい料理ばかりであまり食べられず、ほんとに和食が恋しくてお腹が減っていた。
卵とじうどんと天ぷらを作ることにした。
1時間ほど無心に料理をしていると気持ちも落ち着いてきた。
できたお昼ご飯をテーブルに並べてリアムを呼ぼうとソファーを見ると、リアムが居眠りをしていた。
そういえば目の下にクマがある。
あまり眠れていないのだろう。
ラインも電話も無視していた由里は、少し責任を感じてしまった。
起こすべきか少し迷ったがうどんが伸びてしまうので、小さく声をかけてみた。
それで起きなければ少し寝かせておこうと思ったが、リアムはすぐに目を覚ました。
「ゴメン。居眠りしていた」
「そうね、もう少し寝たい?それともランチにする?」と聞くと
「お腹減ったからランチがいい」
と言ってテーブルに座って二人でもくもくと食べた。
一言も発せず完食したリアムは
「あ~生き返った。いつから食べてなかったか忘れた。ほんとに美味しかった。ありがとうご馳走様」
そういって待ちきれなかったのだろう、由里が後片付けもしないうちにリアムは由里の手を引いてソファに座らせた。
そしてリアムはその前に跪いて、由里の両手を取った。
「ほんとにゴメン。由里は仕事を終わらせて飛んできてくれたんだよね。なのにあんな場面を見ることになって、なんと詫びていいかわからない。でもあの時僕はホントに酔っていて何も見えていなかったんだ。由里を待ち続けてみんなに飲まされてずっと忙しかったのもあってめったにないことだけど酔って正体をなくしていた。気が付けばナタリアにキスされていたんだ。誓って僕からキスをしたんじゃない。絶対に。信じてほしい。どの口が言うと言われたら返す言葉がないけど、ケンに由里が来たと聞いた途端正気になってナタリアにキスされているのに気づいたんだ。ナタリアは招待もしていなかった。誰かに強引についてきたに違いない。このところストーカーみたいに僕に付きまとっているんだ。それなのに正体をなくしてナタリアに隙を見せてしまったんだ。ほんとにゴメン。あの後洗面所で顔を洗おうとして鏡を見て凍り付いた。真っ赤な口紅がべったりついていて、どれだけ由里を傷つけたか思い知った。どうか一度だけ僕を許してくれないか?絶対に2度はないと誓う」
由里は真摯に言葉を紡ぐリアムを信じていいのかわからなかった。
「こんな寒い日に何やってるの。風邪ひくでしょう!」
「由里、やっと会えた」
そういってリアムは由里を抱きしめようとしたが、由里はそれを拒否した。
「悪いけど帰って、今はリアムと話したくない」
「嫌だ。由里が話す気になるまでずっとここにいる。ここで待ってる。何時間でも何日でもここで待ってる」
頑固で言い出したら聞かないリアムは、てこでも動かないだろう。
大きなため息をついて由里は仕方なくドアを開けてリアムを通した。
3日間留守をした部屋はすっかり冷え込んでいた。
暖房をつけて温かいコーヒーを入れた。
ちょうどお昼なので何か作ろうと食材を買ってきた。
何も考えずに料理をしたら気持ちも少しは落ち着いて、何とか時間を過ごせると思ったのだ。
ソファーにリアムを座らせてコーヒーを出して
「お昼におうどんを作るけど食べる?」
と聞くとリアムは目を輝かせて
「由里が作ってくれるならなんだって食べるよ」
と殊勝なことを言う。
「食べたら話をきいてくれる?」
「思い出したくないの。食べたら帰って」
と刺々しく答えると
「でも僕も引くわけにはいかない。あんな女の為に大事な僕の宝物を手放す気はないよ。ちゃんと説明させてほしい。お願いだ」
そういってリアムは由里の目をのぞき込んだ。
リアムのアイスブルーの瞳は魔法の力を持っている。
誰にもノーと言わせないのだ。
見てはいけないと思いながらも由里はリアムの瞳に、捕らわれてしまった。
「わかったわ。とにかくお腹がすいてるの。料理の邪魔はしないでね」
そういって由里はうどんを作り始めた。
ホテルでは脂っこい料理ばかりであまり食べられず、ほんとに和食が恋しくてお腹が減っていた。
卵とじうどんと天ぷらを作ることにした。
1時間ほど無心に料理をしていると気持ちも落ち着いてきた。
できたお昼ご飯をテーブルに並べてリアムを呼ぼうとソファーを見ると、リアムが居眠りをしていた。
そういえば目の下にクマがある。
あまり眠れていないのだろう。
ラインも電話も無視していた由里は、少し責任を感じてしまった。
起こすべきか少し迷ったがうどんが伸びてしまうので、小さく声をかけてみた。
それで起きなければ少し寝かせておこうと思ったが、リアムはすぐに目を覚ました。
「ゴメン。居眠りしていた」
「そうね、もう少し寝たい?それともランチにする?」と聞くと
「お腹減ったからランチがいい」
と言ってテーブルに座って二人でもくもくと食べた。
一言も発せず完食したリアムは
「あ~生き返った。いつから食べてなかったか忘れた。ほんとに美味しかった。ありがとうご馳走様」
そういって待ちきれなかったのだろう、由里が後片付けもしないうちにリアムは由里の手を引いてソファに座らせた。
そしてリアムはその前に跪いて、由里の両手を取った。
「ほんとにゴメン。由里は仕事を終わらせて飛んできてくれたんだよね。なのにあんな場面を見ることになって、なんと詫びていいかわからない。でもあの時僕はホントに酔っていて何も見えていなかったんだ。由里を待ち続けてみんなに飲まされてずっと忙しかったのもあってめったにないことだけど酔って正体をなくしていた。気が付けばナタリアにキスされていたんだ。誓って僕からキスをしたんじゃない。絶対に。信じてほしい。どの口が言うと言われたら返す言葉がないけど、ケンに由里が来たと聞いた途端正気になってナタリアにキスされているのに気づいたんだ。ナタリアは招待もしていなかった。誰かに強引についてきたに違いない。このところストーカーみたいに僕に付きまとっているんだ。それなのに正体をなくしてナタリアに隙を見せてしまったんだ。ほんとにゴメン。あの後洗面所で顔を洗おうとして鏡を見て凍り付いた。真っ赤な口紅がべったりついていて、どれだけ由里を傷つけたか思い知った。どうか一度だけ僕を許してくれないか?絶対に2度はないと誓う」
由里は真摯に言葉を紡ぐリアムを信じていいのかわからなかった。



