由里は大きな目の黒い瞳を事務所の壁の一点に向けた。
そこには日本語の四文字熟語が書かれた黒縁の額が掛けられていた。
臥薪嘗胆(がしんしょうたん)と書かれた額は、ニューヨークに来る前に兄とも慕う同じ施設出身の裕司がくれたものだ。
くじけそうになると、この文字を見て自分を鼓舞してきた。
裕司が自分で墨で書いてくれたのだが、貰った時は墨絵かと思ったのだ。
裕司にそう言うとふてくされていたっけと、その時の彼の顔を思い出して思わず笑みが漏れた。
そしてこの文字の意味と読み方を説明してくれたのだ。
この”がしんしょうたん”の四文字熟語も意味も由里は知っていたが、どう見てもそんな字には見えない。
毛筆で書くにはやたら字画が多すぎて難しいだろうと思うが、でも裕司が一生懸命書いてくれたのだ。
見慣れれば味のあるいい字に思えて、大切に額装してずっと自分の部屋に飾っておいたのだが、今日からはこの事務所に飾るつもりで持ってきたのだ。
”臥薪嘗胆”つまり目標達成のために苦労をいとわないと言う意味なのだ。
今日から自分の会社を始める由里にとって、とてもふさわしい励ましの言葉だと思う。
この額を見て裕司に負けないようにこれからも頑張らなくてはと力がみなぎるのだ。
由里は一人ではない遠く離れているが裕司や施設の先生そして施設の仲間たちがいてくれる。
みんなそれぞれの場所で頑張っているのだ。
それぞれ抱える不幸や悲しみは違うけれど、一緒に暮らした日々の絆は固い。
裕司自身も大学を卒業後友人と会社を興し最初はたった二人しかいなかったが、今で沢山の従業員を抱えるまで成長した会社を経営している。
負けるものかと由里は、これからの自分の未来に向けて精一杯苦労をいとわずに邁進するのだと改めて思うのだった。
そこには日本語の四文字熟語が書かれた黒縁の額が掛けられていた。
臥薪嘗胆(がしんしょうたん)と書かれた額は、ニューヨークに来る前に兄とも慕う同じ施設出身の裕司がくれたものだ。
くじけそうになると、この文字を見て自分を鼓舞してきた。
裕司が自分で墨で書いてくれたのだが、貰った時は墨絵かと思ったのだ。
裕司にそう言うとふてくされていたっけと、その時の彼の顔を思い出して思わず笑みが漏れた。
そしてこの文字の意味と読み方を説明してくれたのだ。
この”がしんしょうたん”の四文字熟語も意味も由里は知っていたが、どう見てもそんな字には見えない。
毛筆で書くにはやたら字画が多すぎて難しいだろうと思うが、でも裕司が一生懸命書いてくれたのだ。
見慣れれば味のあるいい字に思えて、大切に額装してずっと自分の部屋に飾っておいたのだが、今日からはこの事務所に飾るつもりで持ってきたのだ。
”臥薪嘗胆”つまり目標達成のために苦労をいとわないと言う意味なのだ。
今日から自分の会社を始める由里にとって、とてもふさわしい励ましの言葉だと思う。
この額を見て裕司に負けないようにこれからも頑張らなくてはと力がみなぎるのだ。
由里は一人ではない遠く離れているが裕司や施設の先生そして施設の仲間たちがいてくれる。
みんなそれぞれの場所で頑張っているのだ。
それぞれ抱える不幸や悲しみは違うけれど、一緒に暮らした日々の絆は固い。
裕司自身も大学を卒業後友人と会社を興し最初はたった二人しかいなかったが、今で沢山の従業員を抱えるまで成長した会社を経営している。
負けるものかと由里は、これからの自分の未来に向けて精一杯苦労をいとわずに邁進するのだと改めて思うのだった。



