真夜中の償い

家の中は広いリビングが上品なアンテイーク家具で重厚になりすぎず品よくまとまっていて、由里好みの暖かい雰囲気になっている。

女性好みといってもいいのではと思ってしまう。

きっと元婚約者の好みなのだろうと由里の妄想は止まらない。

キッチンもアイランドでこちらは柔らかいグレーのキャビネットに白いマーブルの大理石の天板が素敵だ。

大きな冷蔵庫やオーブンにレンジ、いろいろな調理器具がそろっている

きっとお料理が好きな人だったんだとここでも納得の由里。

料理が趣味の由里はキッチンに見とれている

「由里は料理が好きって言ってたからこのキッチンはどうだろう。動きやすいかな?僕もここに来ると料理するんだ。だからあったら便利と思って買った調理器具がだんだん増えてしまったよ」

「あらっ、リアムが料理するなんてちょっとびっくり。てっきり元カノの趣味なのかと思ってました」

「ここに来たのは由里が初めてだってさっき言わなかった?」

あっ、そうだった。

それにどんな反応をしたらいいのか困ってしまったのを思い出した。

では、元婚約者の線はないのかもと由里の思考はあちこちへと飛ぶ。

「こ、こんなキッチンで料理したらさぞ楽しいでしょうね」

と頬をそめて口ごもる由里

「じゃあ今度は由里がこのキッチンで僕になんか作ってくれる?今日のデイナーは庭でバーベキューの予定なんだ。この家の掃除や管理を頼んでいるところに冷蔵庫に食材も頼んでおいたから」

そういってリアムは大きな冷蔵庫を開ける。

ワインセラ-はキッチンの裏側のパントリーに併設されていた。

冷蔵庫にはビールやソフトドリンクも入っている。

食材もいろいろ入っていて由里は楽しくなってしまう。

ケールやトマト、キュウリなどサラダが作れる野菜も充実している。

「それじゃあ、私はサラダを作ってもいいですか?」

と由里はワクワクしながら冷蔵庫をのぞき込む。

リアムはくつくつと笑っている。

何がおかしいのかと聞くと冷蔵庫をそんなに楽しそうにのぞき込む由里が可愛すぎると言われて、またまた頬を染める由里だった。

年代物の赤ワインに極上の肉やロブスターのバーベキューと、手作りのサラダにとろけながら二人の楽しい夜は更けていった。

明日は休みだから遅くなってもいいのだがリアムはお酒を飲んでしまったし、車を出してもらうわけにはいかない。

由里には泊まれない理由もある。

それはまだリアムには打ち明ける度胸がない。

その夜遅くゲストルームもあるから泊っていけというリアムの誘いを断り、リアムが手配してくれたドライバ-にマンハッタンまで送ってもらった。

一緒に行くというリアムを説き伏せるのに大変だったが、とりあえず彼は納得して由里を送り出してくれた。