真夜中の償い

由里は胸がキュンキュンして心臓発作で死ぬんじゃないかと思った。

リアムの微笑は凶器だ。

でも、今度と言われて、今日限りのお誘いだと思っていたので内心少し嬉しくもあったが戸惑いのほうが大きかった。

「私のアパートはダウンタウンで狭いですがキッチンは大きいんですよ。そこが気に入って借りたので日本の家庭料理を作るのがストレス発散になってます。できる限りお昼もお弁当を持ってきて時間があればセントラルパークまで行ってベンチに座って食べてます」

「お弁当?なんともそそられるワードだなあ。一緒に由里の作ったお弁当をセントラルパークで食べるのを次の目標にしよう」

と嬉しそうにほほ笑むリアムの優しい笑顔に由里の胸はまたドキドキした。

食事が終わるまで生きていられるかしらなんて思いながらリアムが次々に薦める寿司を堪能した。

食事の後今は、リアムの運転手付きリムジンで由里のアパートに向かっている。

リアムから明日休みなら午後から会わないかと誘われて、由里は午前中はたまった家事をするつもりだったので午後からなら好都合でOKと返事をした。

リアムはマンハッタンのアパートのペントハウスに部屋を持っているが、自宅はロングアイランドにある。

海岸線ではなく緑豊かな地域に自分で設計したこだわりの家を建てた。

今夜は運転手にロングアイランドの自宅まで送ってもらって明日は自分の愛車で由里を迎えに行くつもりだ。

ロングアイランドの家は広大な敷地にプールやテニスコートもある。

家の中にはジムスペースも図書室も仕事部屋も大きなキッチンもあり、客室も部屋数は十分にある。

ここはほんとにプライベートで情報公開はしていない。

パーテイもここではしたことがない。

リアムの隠れ屋で、ここでリアムは仕事の疲れや人間関係のストレスを癒している。

ここに来るのは秘書のケンと祖父母と大学時代の信頼できる友人達だけだ。

女性には百戦錬磨のリアムだが、恋愛に本気になったことはなかった。

由里のようになぜか気になって目を離せない女性は初めてだ。

明日リアムはロングアイランドの自宅に由里を招待しようと考えている。

ケンが知ったらどんな顔をするだろうと考えるとちょっとバツが悪かった。