翼の折れたエンジェル

 ミツが、あの合コン相手の一人と付き合うことになったと聞いた時、もしその彼というのが、あの最低な男だったら、友達として反対したほうがいいのかな⋯⋯?と、心配になった。
 しかし、どうやら別の男の子のことだったようで安堵したものだ。
「ねーねー、成美は彼氏ともう長いんでしょ?」
「ま、まあね」
「何年?」
「えーと⋯⋯7年目かな」
「すごーい!中1からずっと?私なんて、今の人が初めての彼氏だから、色々と教えてね!先輩」
「そんな、教えるようなことなんて何もないってば」
「またまたぁ。あ⋯⋯ここで喋ってるとまたオバサンに怒られるし、私の部屋でちょっと話さない?」
「いいよ」
 ミツの部屋に入るや否や、彼女は饒舌に惚気話を始めた。
「あ、ごめん!私ばっかり喋って⋯⋯」
「ううん。幸せそうでよかったわ」
 ふと、ベッドの上に、何色もの毛糸と、まだ途中の編み物が目に入った。
「何を編んでるの?」