翼の折れたエンジェル

　小春日和の公園で、人目も憚らずギュウギュウ抱きしめられ、ちょっと戸惑ってしまう。
「無理をしてまで使わなくていいからね？なんかやたら長いし⋯⋯」
　ミツに、どうしてこの長さなのか聞くのを忘れた。
「これって、もしかしてなるちゃんの手編み？」
「うん」
「マジで！？うわー！嬉しすぎて空を飛べそう！」
　私の編んだ不格好なマフラーでこんなに喜んでくれる人は、世界中でコウちゃんしかいないだろうな⋯⋯。
「あ、正しい使い方がわかった！なるちゃん、もっとこっちにおいで」
「ん⋯⋯？」
　コウちゃんは、自分と一緒に、私のこともマフラーで一緒に巻いた。
「この長さって、つまりこういうことでしょ？」
　ニカッと笑って言われ、おもむろに、ミツがこの長さを推奨していた理由がわかった。
「え！？いやいや！それはいま初めて気付いたのよ！？」
　白昼堂々、なんだかバカップルみたいで恥ずかしい⋯⋯！