翼の折れたエンジェル

「え?」
 思わず、手が止まってしまう。
「手を止めないの!素人なんだから、間に合わないよ!」
「スミマセン⋯⋯」
「成美、いつもはクールな感じなのに、彼氏さんの前では、なんかめっちゃメスの顔になってたもん」
 思わず、咳き込んでしまった。
「メ、メスって⋯⋯!」
「メスは流石に言い過ぎか。乙女かな」
「その二つ⋯⋯意味が全然違うと思うけど」
「とにかく、幸せなんだろうなーっていうのが伝わってきたよ。私、7年目になっても彼とあんな風にラブラブでいられるかなぁ」
 ミツの惚気話を聞いていたところ、初めてのデートでキスまでしてしまったという。
「初めての彼氏だし、よくわからないけどさぁ⋯⋯今の状態がずっと続く気がしないんだよね。ずっとラブラブでいられるアドバイスない?」
「ラブラブねぇ⋯⋯」
 これまで特に意識したことはなかったが、私たちは、傍目にはラブラブに見えていたのか。