翼の折れたエンジェル

「どうして、なるちゃんが謝るの?」
「だって⋯⋯」
「ごめんごめん。意地悪なこと聞いた。とにかく、なるちゃんには安心して一緒に居てほしいんだ」
「うん⋯⋯」


 翌日の夜、またコウちゃんがバイクで送ってくれて、いつも通り、周りを見渡して誰もいなければ⋯⋯と思った瞬間、
「あ、成美ぃ!」
 聞き慣れた声に邪魔された。
「ミツ⋯⋯」
「あ、もしかして、成美の彼氏さんですか?合コン行きも快諾してくれた。どーも!はじめまして。成美が人数合わせに来てくれたおかげで、こちらの彼と出会えました」
「はぁ⋯⋯どうも」
 あけすけなことを言われ、コウちゃんも困惑している。
 ミツと一緒の彼が、あの時の合コンの人だったか、本音を言うと顔も覚えていないのだが、それらしい挨拶をしておいた。
「ミツってば、もう時間よ!私まで始末書は困るわ」
 既に、門限ギリギリだ。
「そうね。じゃあまたねー!ダーリン」