明緋が八重の彼氏であるならば、鏡花にきちんと紹介した。
だが彼氏どころか、好きな人なのかも曖昧なのでどう話していいかわからないのだ。
(明緋さんと話すのは楽しいですが、これを恋と呼んでいいのか……)
彼のことを好意的に思う気持ちは確かに存在しているが、これが恋なのかどうか八重は判断できずにいた。
今は毎日LIMEをしているが、実際に会ったのは二回きりなのだ。
最初に彼と過ごした沖縄での修学旅行は、普段とは違う環境で修学旅行マジックなるものがかかっていた。
その次に会った初詣は、神様からのギフトのように感じた。
普段よりもトクベツな環境下で出会っているからこそ、気持ちが昂っているだけかもしれない。
明緋が幼なじみで親友の鏡花と那桜とはまた違う、特別な存在になっていることは間違いないが、果たして自分は明緋とどんな関係になりたいのか?
八重自身がその答えを見つけられていなかった。
「そういえば、もうすぐバレンタインですね」
八重は自分の気持ちから目を逸らすように、話題を変える。
「今年も那桜さんにチョコレートを贈るつもりですが、鏡花も一緒にどうですか?」
「えっ、なんで?」



