「……え、今……なんて?」
「ホームズだ。」
心臓が跳ねた。
あまりにも当たり前のように言うその声音。
まぁ確かに良く見たらイケメンではあるが…
ってそーじゃなくて!!
でも、ありえない。そんなわけがない。
「ふざけてるんですか? そんなの……だって、あなた……小説の中の……!」
「小説? 私は現にここにいるが。」
「そんなわけ……! 絶対に何かの冗談ですよね!?」
声が震えていた。
胸の奥にあった“憧れ”が、現実になって目の前にいる。
なのに、信じられない。信じたくない。
男――ホームズは少しだけ眉を上げて言った。
「……君は頭を打ったか?」
「打ってません!!」
「では、なぜ怒鳴る?」



