Jour de neige ある雪の日の思い出

新妻であり、新卒1年目でもある私。

文学や芸術の才能が皆無なのはよくわかっていたので、次に興味のあった電車の運転士になる為、鉄道会社に就職した。

まだまだ男社会でもあるので、

「お嬢様大学出身の上に新婚の女とか、ナメてるよな」

職場の男たちに悪く言われながらも、数少ない女性の戦友たちと共に頑張っている。

しかし、男尊女卑と戦う毎日は決して楽ではない。

だからこそ、自宅が職場である夫に早く会いたくて、私はいつもまっすぐ帰宅する。

私の配属先が郊外だったこともあり、私たちの愛の巣もその近くになった。



「ただいまぁ⋯⋯」

疲れ果てて帰宅すると、美味しそうな匂いがする。

「おかえり。今日もお疲れ様」

夫はキッチンで夕飯の支度をしていた。

「ねえ、疲れたよぉ」

そう言って甘えると、

「はいはい。外で逞しく戦ってるんだから、僕の前ではうんと甘えなさい」