Jour de neige ある雪の日の思い出

悲しいエンディングだったが、初めて彼の本音を知った私は、涙が止まらなかった。

電車を途中下車すると、彼の部屋に向かうため、地下鉄を乗り換えて彼の元へと駆けていった。

人気作家でありながら、質素な暮らしをしている彼は、安アパート暮らしだ。

私はドアを激しくノックした。

心を開くかのようにドアを開けてくれた彼は、

「あれほど、僕なんかやめたほうがいいって言ったのに⋯⋯後悔しても知らないからね?」

少し淋しげに言い、私は彼の胸に飛び込んだ。


その後、間もなく彼は、私の卒業祝いに婚約指輪をくれた。

「まだ君は若いし、付き合いも短いのに、婚約指輪なんて重すぎたかな⋯⋯?」

彼はそう言ったけれど、ずっと大好きだった人なのだから、何の迷いもなく、この人と一緒になると決めた。


交際期間が殆どないまま結婚した私たちは、今年、初めて一緒にクリスマスを過ごすことになる。