職場の人たちによると、

「あいつ、付き合いが悪いと言うか、プライベートなことは話したがらないんだよなぁ」

「社内恋愛は、まずなさそうね。社内恋愛はしたくないからって理由で、告白して振られた人もいるって言うし」

「恋愛対象が女性ではないんだろうな、って、密かにそう思ってる社員が大半じゃないかしら」

誰も、彼のプライベートは知らなかった。

職場の人に聞いて得た収穫は、独身であること、社内恋愛はしていないということだけ。

恋愛対象のジェンダーや、恋人の有無については不明なまま。

既に大切な人がいるか、女性との恋愛が無理なのであれば、まだ諦めもつく。

私は、ちょっとぐらいあざとくなってやれ!とさえ思い、単なる学生バイトのくせに、一緒に飲みたいと甘えてみたりもした。

二人で会うことには嫌がることなく応じてくれたから、私にしてみれば、余計に諦めがつかなくなったのも事実。