Jour de neige ある雪の日の思い出

大好きな人と結婚できただけでも充分幸せだが、一緒にクリスマスを過ごすことが楽しみで、仕事だって頑張れる。


師走というだけに、毎日が慌ただしく過ぎてゆき、あっという間にクリスマス・イヴ。

いつもと変わらず、仕事が終わると疲れ果てていたが、楽しみな気持ちが大きくて、いそいそと家路を辿った。

「ただいまー!」

勢いよくドアを開けると、

「おかえり。随分ごきげんだね」

夫はにこやかにキッチンに立っており、

「今日はクリスマスメニューにしておいたよ」

「わぁ⋯⋯嬉しい!あ⋯⋯料理は私がリビングまで運ぶから」

「ありがとう」

極力、夫の脚に負担をかけたくはない。

元々、あまり余計なものを置いていないリビングだが、クリスマスツリーのライトに幸せを感じる。

「それにしても⋯⋯これ、全部一人で作ってくれたの?」

テーブルいっぱいに並べられた美味しそうな料理に垂涎しそうだ。