Jour de neige ある雪の日の思い出

優しく抱き締めてくれた。

「ねえ⋯⋯今年のクリスマス、一緒に過ごせる?」

甘えたままで尋ねると、

「そりゃ、家族なんだから勿論」

恋人とクリスマスを過ごしたことがないまま人妻になったが、本来、恋人と過ごすクリスマスなど、いい歳してハロウィンに馬鹿騒ぎするのと同じく邪道なのだから、気にしては居ない。

12月になったこともあり、

「じゃあ、そろそろ飾りつけ始めようか」

夫が言う。

「え?ツリーあったっけ?」

「実は、この前注文したのが届いたんだ」

「へぇ⋯⋯気付かなかった!嬉しいなぁ」

何だか、サンタクロースを待っていた頃のような純粋な気持ちになる。

翌日、またクタクタになって帰宅すると、小さなツリーは見事に飾り付けられてあった。

「執筆の休憩がてら、飾っておいたよ」

「わぁ⋯⋯ありがとう!」

そう言って夫に抱きついた。