白いワゴン車を運転していた男は、私も知る人物だった。
彼もかつては同じ会社に勤める社員だった。年齢は私のふた回りほど上で、所属部署が重なっていた時期もあった。
仕事の要領があまり良くない人だったと思う。周囲とのコミュニケーションも苦手そうだった。
しょっちゅうデスクで居眠りをしているのを見かけたが、それは病気のせいだと聞いたこともある。
有能な若手が増えていく中で、会社は彼の存在を持て余していた。
それでも、長年勤め上げた彼に温情をかけていたと思う。彼の適所を探るように部署をいくつも転々とさせ、それもいつか限界に達したのか、私が退社する半年ほど前に彼は会社を去っていた。
その後の三年間が、彼にとってどういったものだったのか、私は知らない。おそらく、他の社員の誰も。
だけど、決して良くはなかったのだろう。こんな風に、何かに強い憎しみを向けてしまうくらいには。
早川さんは殺された。
事故ではなく、殺人だったのだ。
その事実は、余計に私から現実味を奪っていた。
