恋をして、大人になった。

あの頃のわたしは、
ただ誰かを好きになることが全てだった。

小学生のときは、笑顔ひとつで心が弾んだ。
中学生のときは、恋が痛みを持つことを知った。
高校では、優しさを信じることを思い出した。
そして社会人になって、
“終わる恋”の重たさを知った。

あの頃に比べたら、
今のわたしは少しだけ落ち着いたけれど、
本当の意味で前に進めているのかは分からない。
それでも、あの恋をなかったことにはしたくない。

好きだった気持ちは嘘じゃないし、
あのとき見た景色も、感じた痛みも、
全部、わたしの中にちゃんと残っている。

きっと恋は、成長のための出来事なんかじゃなくて、
生きていく中でただ自然に起こる“心の波”みたいなもの。
時々戻ってきては、
静かに胸の奥を揺らしていく。

もし、あの頃のわたしに言葉をかけられるなら、
こう伝えたい。

――「それでも好きでいられたね」って。

少し不器用で、報われなくても、
最後まで真っ直ぐだったわたしを、
今はちゃんと誇りに思える。

恋をして、大人になった。
まだ途中かもしれないけれど、
それでも確かに、わたしは変わってきた。